自転車の洗車専門店として注目を浴びる「ラバッジョ」。わずか2年で5,000台以上の自転車を洗車し、大阪、そして東京と店舗を拡大する、その原点はお客様の笑顔だという。綺麗になる工程を知ったら誰でもお願いしたくなるラバッジョの洗車の魅力とは何か。

泡に包まれる自転車

ラバッジョの洗車は楽しい。自分の自転車がきれいになっていくのも嬉しいが、泡に包まれるビジュアルやスタッフとの会話など、その場にいることがとても楽しかった。自転車に限らず、何かを洗う作業(自動車、衣服、食器など、、、。)は日常的によくあるけど、楽しいと思ったことはない。それがこんなにも非日常に感じられるのがラバッジョの魅力だと思う。すでに多くの人が体験しているこの洗車について代表取締役 福井 響 氏にお話を伺った。

――自転車の洗車に出会ったきっかけを教えてください。
2014年から2019年までイタリア籍の自転車ロードレースチームNIPPOに所属し、専属メカニックとして経験を積んで、ジロ・デ・イタリアに参加したりと20カ国以上を訪れました。その経験を日本の自転車文化にフィードバックするためにはどうしたら良いのかを考えて、「自転車を大切にする」という根底の部分からアプローチするために2020年から「自転車の洗車専門店 ラバッジョ」を立ち上げました。

――すでに大きな反響があると伺いましたが、創業当時の予想と比べていかがですか?
オープンする前にはさすがに洗車の台数もここまで多くなるとは思っていなかったです。台数の目標は持っていましたが、コロナ禍の真っ只中、第1回目の緊急事態宣言中にオープンしたので、最初の1〜2年は難しいだろうなと思っていました。結果的に、洗車は年間4,000台くらいしていて、とてもありがたいです。

――洗車へのこだわりを教えてください。
うちのスタッフの誰に聞いても同じことを言うと思うんですけど、洗車はできて当たり前、きれいになるのは当たり前で、いかに楽しんでもらえるかって言うことに重きを置いています。なのでずっとしゃべってます。洗車の最初から最後までひたすらしゃべり続けるんですけど、それが実はこだわりだったりします。

――じゃあ、持ち込んだ時にその場でやってもらえるんですか?
9割9分の方がそんな感じです。急ぎとか、他に用事があって預けられる方もいますけど滅多にいないですね。
初めて来られる方は、どうすればいいのか分からない感じで入ってくるんですけど、僕らがそこからずっと話し続けるので、結果的に気づいたら30分くらい経ってたって言う方がほとんどですね。

――その場の勢いで綺麗になっていくのを見られるのは楽しそうですね。
そうですね。今年の4月にも新しいスタッフが入ってきたんですけど、彼が一番最初に教えられるのは洗車のやり方じゃなくて、トークなんです。そこからまず徹底的にします。

――スタッフが自転車を洗う技術はどのように習得されるんですか?
最初はもちろん練習から始まります。これは洗車を始めた理由でもあるんですけど、洗車って自転車屋さんで働くよりもすごく技術がシンプルです。なので、1ヶ月もあれば一人前になれるぐらいの技術量です。あと僕たちの場合は、一人前になるためにしゃべれないといけないっていうハードルがあるんですけど。
自転車屋さんは最新のモデルからアンティークまで、どんな自転車にも対応しないといけないし、膨大な知識量もいります。それを今から始めても、そういうことをされている方はいっぱいいますし、わざわざ新しく始める必要もないと思いました。それよりも、シンプルだけど、お客さんとしゃべって、もっと自転車を好きになってもらいたいということに重きを置いています。

――意外ですね。いろいろな方が書いているラバッジョのレビューを読むと、どんどん綺麗になっていくことに驚いている方が多くて、すごいテクニックがあるのかなと思っていました。
僕らはそれをやり過ぎて、テクニックだと思ってないかもしれないです(笑)。それくらいは出来て当たり前みたいな。技術だけみるとすごくシンプルな仕事だと思います。

自転車がヌルヌルつやつや

――コーティング技術もすごいですよね。
これまでのコーティングは自転車屋さんのオプションというイメージが強かったんですけど、うちの場合は、もちろん商売ではあるんですけど、それよりももっと今までに味わったことがないような世界にお連れしたいっていうのが1番の目的です。価格帯も今までとは違うんですけど、それでもそこにお金を出してくれる方がこんなにいたのかっていう感覚ではあります。コーティングにもランクがありますが、ほとんどの方がThreeスターコーティングっていう54,800円のコーティングを選ばれます。

――ちょっと勇気がいる価格ですね。
そうですね。1ヶ月に2、3台できればいいほうかな?と思っていたんですけど、予想を上回る反響で、ピークの時には月10台くらい一度にご依頼いただくこともありました。自転車を購入されたタイミングでご依頼いただくことが一番多いです。

――最初にしておくと違いますか?
全然違います。コーティングしてから半年以上経つものでもツヤ感がおかしいくらいあります。ヌルツヤって呼んでるんですけど、ツヤもとても長持ちします。
あとはコーティングするとお客様自身も大事にしないとっていう意識に変わるので、そういった意味でもより長持ちします。

コーティングの仕上がりを確認すると思わず笑みが溢れる

――どんなバイクでもコーティングできるんですか?
なんでもいけます。メッキとか、ほとんどのパターンはやりました。メッキに関しては普通のコーティング剤が乗らないんです。特殊なやり方でやらないといけないものは、他にもいろいろあるんですけど。

――そういったノウハウは、イタリアにいる頃に身につけられたんですか?
洗車に関してはイタリアの時の技術をそのまま持ってきていますが、コーティングに関しては自動車の技術を使っています。自動車は洗車とコーティングがセットになっていることが多いので、自転車業界でもその流れを考えました。スタッフに自動車業界での経験者がいて、機材やノウハウを参考にしています。
自動車の世界のコーティングは成熟しきっているので学ぶところしかないです。機材やノウハウはランボルギーニやフェラーリ、ポルシェのコーティングしている会社から勉強しているので、コーティングのレベルも全然違います。値段も全然違うんですけど、それが自転車サイズになると5万円〜10万円くらいでできるっていうイメージです。

自転車をきれいに保つには

――家で簡単にできる、自転車をきれいに保つアドバイスってありますか?
お店でもよく言っていることは、基本的には雨の日とか、走った後にオイルを差しましょうっていうくらいです。洗車はあんまり深いところまで突き詰めていくと、キリがないんです。なので一番理想的なのは、うちで洗車したあとはきれいなので乗ったあとはすぐにチェーンを拭く、フレームを拭く、その後にオイルをもう一回差す。それができれば長くきれいな状態が保てて、ラバッジョがいらないくらいきれいになります。

――簡単そうで、毎日するのはなかなかハードルが高いですね。
僕らもなかなかできないです(笑)。でもお客様にも本当にたまにそれを常日頃やってらっしゃる方がいて、その方の自転車は、僕ら「これ洗う必要あります?」って言うぐらいのことがあります。「ディグリーザーとか使ってるんですか?」って聞いたら「毎日、拭いてるだけです」って。ピカピカだと思うんですけど、それでも隙間のところの汚れが溜まってきてっていう感覚に変わるので、僕らの出番になるんですけど。お客様もきれいのレベルがどんどん上がってきます。

――今までに洗車した中で、やりがいがあったものはどんな自転車ですか?
ビンテージ系の自転車はやった後の洗車した感があります。ビンテージの自転車は最近の自転車に比べてパーツがギラギラなんです。カンパニョーロのちょっと前のホイールとかもそうですし、きれいにしてあげるとビフォーアフターの違いは一番わかりやすいです。ビンテージに乗っていらっしゃる方こそ愛着がすごくて、ガラスコーティングしたり、大切に乗られてますね。ヨーロッパは自転車が文化なんで、僕がいた頃にはそういう自転車はいっぱいいました。

ラバッジョ チビッジョ

ラバッジョでは洗車以外にもさまざまな活動に力を入れて人々を笑顔にしている。チビッジョと言うプロジェクトでは、小さな子どもを対象に洗車体験をしてもらう。自転車が泡に包まれ、きれいになる様子は、子どもたちにとっても楽しい体験のようで、目を輝かせて洗車に取り組む姿が印象的だ。そんな子どもたちを笑顔にするイベントについて、ラバッジョの考えを伺った。

――チビッジョを始めたきっかけを教えてください。
そもそも自転車を洗うっていう文化がなかったと思います。僕も含めて大人はもちろん、子どもの時に教えてもらうこともなければ、自転車洗ったこともなかったので、想いとしては洗車体験を通して子どもたちに物をきれいにするとか、大事にする、あとは自転車をちょっとでも好きになって欲しいなと思っています。
シンプルに僕たち、子どもが好きなんで笑顔になって楽しんで帰ってもらう場所を提供したいというのが大きいですね。子どもが喜べば、親御さんも喜ぶし、みんな笑顔で帰ってくれます。

――自転車がアワアワになるのは学校でもやらないですしね。
自転車の乗り方は教えてくれるけど、なんで洗い方は教えてくれへんのやろとか。家の掃除はしないとけないし、車も洗わないといけないのに、なんで自転車はいいの?っていう素朴な疑問です。僕も実際、子供の時は自転車洗う感覚なんて全くないですし、チェーンは黒いものやと思って育ってきました。自転車だけは洗えっていう人いなかったなって思ったら不思議やなという。実際にうちに来た子どもたちが、それを知って家に帰って、自分の自転車をふいたりするらしいんです。だからこそ、続けていくことにちょっとでも意味はあるのかなって思います。

――確かに小さい頃は自転車って一番身近な乗り物ですもんね。
そうですね。大事に一台を乗り続けるっていうのが大人の僕らでも少なかったりするので、それを子どもの頃に知っておくのはすごく有益かなと思います。最近、来た方で印象的だったのは、チビッジョに来たのが楽しくて仕方なかったみたいでプレゼントしたタオルで、お父さんが練習から帰ってきたら毎日拭いてるらしいです。

――めちゃくちゃ可愛いですね!
そうなんです。「ユニバーサルスタジオジャパンに行くか、ラバッジョに行くか、どっちがいい?」って聞いたら、「ラバッジョ行きたい」って言ったんです。ユニバに勝って、ラバッジョ行きたいってすごいな。それぐらい楽しんでもらってるかな、というのは現状としてはあります。

子どもが大好きなあの赤い車を購入

――新しい取り組みとして消防車を購入されましたよね。
ラバッジョはモットーである「愛車とあなたを笑顔にする」が全ての言動、行動の軸になっています。洗車もなぜしゃべるのかっていうと自転車がきれいになるだけじゃなくて、心から楽しんでもらわないと笑顔になってもらえないだろうなっていうところからやっています。チビッジョも楽しんでもらって笑顔になってもらうために。新しく消防車を購入したのは、やっぱり消防車ってネットで見ただけでもニヤニヤしてしまうような力を持ってるじゃないですか。子どもだけじゃなくて大人もなぜか、ワクワクしてしまいます。

――消防車を何に使うんですか?
イベントで使う予定はあります。でもせっかくだから例えば何か大きな災害が起きたときに、僕たちがそういう現場に行って支援ができるような車両にしておこうっていう話から始まりました。僕らができることって洗うことしかできない。自転車を災害の現地で洗うことは多分ないですけど、僕らの技術って他にも応用できると思います。例えばお家が土砂で汚れてしまった後に、砂を運ぶのはボランティアさんとか、みんながやると思うんですけど、そっから後の家を洗ってきれいにするところに僕らができることがあるんじゃないかと思って。洗浄機とか溶剤もいっぱい持っていますし、洗い方のノウハウもあります。それをするのに何がいいかってなったときに消防車いいやんって。

――洗うということと、消防車っていうアイデアがすごくマッチしてるなと思いました。購入してからは維持していくのが大変そうですね。

その通りなんです。僕らが言いたいこと全部、聞いてくれるような(笑)。
僕ら甘くみていて、消防車なんて買ったら使えると思ってたんですけど、全然そんなことなかったです。SNSで消防車買いましたっていうのを投稿していたら、消防車メーカーの方から「周りにメンテナンスができる方っていますか?」という連絡が来ました。その方もロードバイクに乗っていんですけど、「多分、相当大変なことになりますよ」っていう連絡から「よかったら、僕が行きましょうか?」と言ってくださって、今では2、3週間に1回ぐらいのペースでサポートしていただいてます。今のところは、その方がいるので助けていただけるんですけど、維持は結構、大変なのは大変です。

――でも一度見たら忘れないですよね。
消防車が繋いでくれた輪みたいなものは思わぬところまで広がっています。消防車のおかげで、今でもいろいろな方に覚えてもらってます。

消防車はまだ制作途中で、さらなる展開を予定しているとか

新しい店舗展開

――東京進出にあたり、やってみたいことはなんですか?
すでに始まっているんですけど自転車以外の業界から声をかけていただくことがとても多いです。今は、ビルメンテナンスの会社からも声をかけていただいたりと、大阪とはアンテナの張り方がちょっと違うなと思います。
自転車業界が1歩上に行くためにも、僕たちはどっちかというと自転車業界じゃない方に手を繋ぎに行ったりしてます。野球ファンを自転車に引き込んだり、サッカーファンに自転車に興味を持ってもらったりしたいです。そのためにもまずは垣根を超えてつながっていって、そのうちに大きなことをみんなでやりましょうって流れを目指しています。なので今いただいている東京の話もすごくワクワクします。
ラバッジョを最初に立ち上げた理由もそう言ったところにあります。プロのメカニックをやってた人は自転車屋さんになることも多くて僕も「自転車屋さんやったらいいやん」ってよく言われてました。でもそれだと、自転車屋さんはたくさんあるので仲良くしたくたって、結局は競争になってしまって、手を繋いで野球ファンの人たちを自転車に取り込もうなんて活動は絶対できないと思ったんです。それが例えば自転車洗車屋さんだったらどうなんだろうと思って。それなら、もしかしたら自転車屋さんとも手をつなげるんじゃないかなと思ってやってみたら、実際そうでした。大きなことやるときって、みんなでやったらもしかしたら自分一人でやる時とは何か違うことが起こるかもしれないと思います。手をつなぐために洗車屋さんを選んだっていうのが実は最初の理由だったんです。

――クラウドファウンディングもされていたりと、ラバッジョなら何か面白いことをやってくれそうだと思って注目している人も多いと思います。
そう思っていただけるんだったら嬉しいです。他の業界とのお話は経験したことない、誰もやってないのこともあってハードルが高く、プレッシャーもありますけどね。

ラバッジョのこれから

――車椅子の洗車やボランティアでの清掃活動など、社会貢献も積極的にされてますよね。
これは僕らの概念的な話になるんですけど、この日本という国がめちゃくちゃ貧しくなって、この街にコロッケ屋を残すか自転車の洗車屋を残すか、という投票が起きたとします。
その時に「この街には自転車の洗車屋が必要なんや!」と言ってもらえるためにはどんな活動をしていかないといけないですか?という問いかけを私たちはよくします。そうなるためには、まず社会には必要とされなあかんやろと思い、ゴミ拾いもして専用のゴミ袋も作りました。このゴミ袋の製作にはいろいろな会社に協賛もしていただいてます。その一環で社会に必要とされるのなら、趣味のものばかり洗うんじゃなくて必要なものをきれいにしないなとなり、車椅子を洗わせてもらいました。その当時は結構洗ったんですけど、コロナ禍の影響もあって今はなかなか洗えてないです。コロナの問題はこの2年間大きくてあまり動けなかったです。

――動きに制限がありましたか?
ありました。この「If you want, must be wanted.」というのは、一つのスローガンで、もし僕たちが必要とするんだったら、まずは必要とされる存在になりましょうっていう考え方です。例えば自転車乗りの方ってクラクション鳴らされたりとか、車から幅寄せられたりとかってよく聞くし、それで怒るのも分かるんですけど、逆に自転車乗りって社会に必要とされていますかっていう問いかけを僕はするんです。まずは必要とされる存在になってから僕たちが何か意見を述べることができるんじゃないかと思って、せめてゴミぐらい拾おうというのがきっかけです。

――自転車に乗る人の良いイメージが広まると、危ないと思っているドライバーの印象も変わりますよね。
コンビニでもし、ライダーが袋を出して落ちているゴミとかをスッて入れて走っていくの見たら「え?」って思いますよね。自転車に乗る人ってそんな人間なんだみたいな。自転車はまだまだそういうところから動いていかないといけないだろうなとは思ってます。
2、3年くらい前に被災地に行ったラグビー選手が大きな荷物を運んでいるニュースがありました。僕は全然、ラグビーについては知らなかったんですけど、そのニュースはずっと頭に残っています。その時に自転車って何かできてたのかなと思って。こういうことをやっていくことで、自転車業界のイメージも変わっていくと思います。

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