部屋中の害虫を一網打尽にしてくれる心強い味方、バルサンですが、その強力な効果を安全に、そして最大限に引き出すためには、使用前の「準備」が何よりも重要です。面倒に感じるかもしれませんが、この準備を怠ると、効果が半減するどころか、大切なペットや家財に思わぬダメージを与えてしまう可能性があります。初めて使う方も、久しぶりに使う方も、安全で確実な害虫駆除のために、これから説明する準備と注意点を必ず確認してください。まず、最初のステップは「部屋の外に出すもの」の確認です。最も優先すべきは、犬や猫、ハムスター、鳥といったペット類、そして観賞魚や昆虫です。彼らは人間よりも薬剤に敏感であり、命に関わる危険性があるため、必ずケージや水槽ごと、安全な屋外や別の建物へ避難させてください。次に、観葉植物も忘れずに屋外へ移動させましょう。薬剤が付着すると葉が変色したり、枯れてしまったりする恐れがあります。そして、口に入れるもの、つまり飲食物、食器、調味料なども、戸棚にしまったままにせず、可能であれば部屋の外に出すか、それが難しい場合は大きなビニール袋に入れて口を固く縛り、さらに戸棚にしまうなど、二重三重の対策を講じることが賢明です。次のステップは、「部屋の中で養生するもの」の対処です。パソコンやテレビ、オーディオ機器といった精密機器は、薬剤の微粒子が内部に入り込むと故障の原因となり得ます。必ず大きなビニール袋や専用のカバーで隙間なく覆い、コンセントも抜いておきましょう。また、布団や衣類、ソファ、クッションなども、薬剤に直接触れないよう、ビニールシートなどでしっかりと覆う必要があります。特に、肌に直接触れるものや、赤ちゃんが使うベビーベッドなどは念入りに養生してください。そして、絶対に忘れてはならないのが「警報器への対処」です。煙や霧を感知する火災報知器やガス警報器は、バルサンを使用すると高確率で作動してしまいます。製品に付属している専用カバーを使うか、なければビニール袋とマスキングテープで、警報器の感知部分を隙間なく完全に覆ってください。これを忘れると、けたたましい警報音が鳴り響き、集合住宅では管理人や警備会社が出動する大騒ぎになりかねません。