飲食店に発生する害虫は、ゴキブリだけではありません。ネズミやコバエなど、その種類は多岐にわたり、それぞれ生態や弱点が異なります。効果的な対策を講じるためには、まず敵を知ることが重要です。ここでは、飲食店で特に問題となる代表的な害虫別の対策法を解説します。まず、最も忌み嫌われる「ゴキブリ」。彼らは高温多湿で暗い場所を好み、驚異的な繁殖力で増え続けます。厨房の熱源周りや冷蔵庫の下、シンクの裏などが格好の隠れ家です。対策の基本は、餌となる油汚れや食材カスを徹底的に清掃すること。その上で、プロが使用するベイト剤(毒餌)を、ゴキブリの通り道や巣になりやすい場所に設置するのが効果的です。定期的なトラップ調査で生息状況を把握し、巣ごと根絶を目指します。次に、「ネズミ」。彼らは食材を齧るだけでなく、建物や電気配線を傷つけ、火災の原因になることもある危険な存在です。対策の最優先事項は、侵入経路の完全な封鎖です。壁の穴や配管の隙間など、わずか1.5センチほどの隙間があれば侵入してきます。粘着シートや殺鼠剤も有効ですが、死骸の処理や、毒を食べたネズミがどこで死ぬか分からないという問題もあります。ラットサイン(糞や壁の黒い汚れ)を見つけたら、専門家による徹底的な侵入経路調査が不可欠です。最後に、厄介なのが「コバエ」。特に、グリストラップや排水溝のヘドロから発生する「チョウバエ」と、お酒や果物、生ゴミに集まる「ショウジョウバエ」が問題となります。コバエ対策は、発生源の特定と除去が全てです。グリストラップや排水溝を徹底的に清掃し、生ゴミの管理を厳格化する。その上で、捕虫器を適切な場所に設置したり、発生源に薬剤を投入したりすることで、効果的に数を減らすことができます。それぞれの害虫の生態を理解し、多角的なアプローチで対策を講じることが、クリーンな店舗環境を守る鍵となります。